トレンド&トピックス

Homeお役立ち情報 > トレンド&トピックス/その6 和の魅力

その6 和の魅力

「和」の素材を、現代の住まいへ。

障子を透して窓から差し込むやわらかな光、畳と木の香りに包まれて目覚めた朝…。このような日本人の原風景が消えて久しいのではないでしょうか。

近ごろ、さまざまな分野で「和」が見直され、住まいづくりにおいても自然素材や国産木材の利用がトレンドとなり、町家や田舎家を再生する動きも出てきました。その一方で、新築住宅では和室が減り、リフォームにおいても和室から洋室へ転換されるケースが多く見られます。多用途に使う和室の性格と、現代の生活スタイルがそぐわなくなってきたせいかもしれません。

しかしながら、和室を構成する、素木(しらき)の木材、塗り壁、畳、襖紙、障子紙、漆仕上げなどには、今もなお私たちの心を震わせる魅力があります。これらに共通するものはなんでしょうか。第一に挙げられるのは「調湿(ちょうしつ)機能」です。“住宅は夏を旨とすべし”といわれたように、湿度の多い日本の暮らしは、梅雨や夏の暑さとの闘いでした。それが今では、断熱性の高い建材や冷暖房・除湿装置の発達により、調湿機能が置き去りにされて、和の建材が語られているように思います。

襖紙: 雁皮雲龍紙

もう一つの共通項は、「五感にやさしい」ことでしょう。素足で過ごす座の生活にとって、足触り・手触りの良さはとても大切です。また、多用途使いの和室には、そのときどきの目的に合わせた包容力のあるやさしさが求められます。そして、日本人のDNAに訴えかける質感や意匠のすばらしさ。柾目・板目・杢目と多彩な表情をみせる国産木材、飴色の拭き漆、清々しい畳表のい草、しっくい壁や土地ごとに異なる色合いの土を塗り込んだ聚楽壁、楮(こうぞ)や三椏(みつまた)を漉き込んだ和紙などは、素材そのものの表情や質感が私たちの心に響いてきます。また、日本人の感性を波、雲、秋草など慣れ親しんだ図柄に表現した襖紙、巧みの欄間彫刻などもあります。

これらの建材を、高級な伝統芸術にすることなく、和室・洋室を問わず身近に使い込んでいくことが、これからの日本の住まいの課題ではないでしょうか。今の暮らしに和の良さをもっと活かせるように、「和素材に新しい息を吹き込む」取り組みを、これからも進めていきたいと思います。


● お話を聞いた人 … 増地 秀夫さん( 株式会社オフィス アマテラス 代表取締役・住宅・建材開発プランナー)

● 写真提供/積水ハウス株式会社

pagetop