トレンド&トピックス

Homeお役立ち情報 > トレンド&トピックス/その7 住まいの「基礎」の基礎知識

その7 住まいの「基礎」の基礎知識

基礎は、住む人の生命と財産を守る“いしずえ”。

特別硬い地盤でない限り、月日とともに家はいくらか沈下するものです。家全体がほぼ均一に沈下することを「同沈下」、傾いて沈下することを「不同沈下」といいますが、実際に見られるのは不同沈下がほとんどです。長年の経験から1m幅で5mm以上不同沈下すると、生活に支障を生じるようです。「家にいると肩が凝って仕方ない」という家を調べたら、20mmも不同沈下していたというケースもあります。

そのような沈下をできるだけ防ぎ、建物を守るために必要なのが、建物と地面の間につくる「基礎」です。

日本の建物では、西暦600年代初頭、奈良県明日香村に飛鳥寺が建てられたとき、柱の下に大きな石(礎石)が据えられたのが基礎の原点といわれています。当時、礎石の上面は水平でなく高さもそろっていなかったので、柱は現場で1本1本加工されました。やがて、石を並べた上に土台が置かれるようになり、土台の進化とともに強度増大と工期短縮が図られていきました。しかし、あくまでも「地面に置いただけ」の基礎で、現在のように一部を地面に埋めた基礎が登場するのは近代になってから。その後、大きな震災のたびに建築基準法が改正され、現在では「木造住宅の基礎は鉄筋コンクリートでつくる」ことが定められています。

最古の基礎 昔の基礎 現在の布基礎

戸建て住宅の基礎には、主に「布基礎(ぬのきそ)」と「ベタ基礎」があります。布基礎はTの字を逆にした形の鉄筋コンクリートを連続して設けたもの。ベタ基礎は底版一面を鉄筋コンクリートで仕上げるものです。本来、硬い敷地は布基礎で、軟らかい敷地はベタ基礎と使い分けるものですが、最近はベタ基礎が増えてきました。では、布基礎とベタ基礎、どちらが優れているでしょう。私は以前、全国各地の軟弱地盤で「実大比較実験」を行ったことがありますが、ベタ基礎の方が沈下量が大きいことがわかりました。また、布基礎は「軽い」ので地盤に余計な負荷を与えない利点もあり、総合的にみるとベタ基礎よりも優れているように思います。

いずれにしても、住宅の基礎や地盤の世界は奥深く、今なお新しい発見の連続です。「そこに住む人の生命と財産を守りたい」という思いで、これからもこの道を究めていきたいと考えています。


● お話を聞いた人 … 高森 洋さん( 株式会社 WASC基礎地盤研究所 代表取締役)

● 参考資料『地盤と基礎 100の疑問』( 高森 洋著/(株)エヌ・エス・ピー)

pagetop